リアルサウンド 風のリグレット(DC版)


・飯野賢治((株)ワープ社長。企画・監督)



(要約)

 ぷるぷるぱっくとビジュアルメモリのゲーム、そしてネットワークヘの対応で遅れが生じてしまいまして。
そんなもん無くていいと思われる方もいるでしょうが、かなり重要な要素なんです。このゲームは操作の
回数が少なく、基本的には聞いているだけですから、受け身なプレイになりがちなんです。だからアウト
プットとしてぷるぷるぱっくを使い、効果的に音に振動を加えることでプレイヤーの参加性を高めようという
意図があるんです。

 ビジュアルモードの写真は、坂元裕二さんから「稲越功一さんが一番合うんじゃないか」って勧められて。
僕は稲越さんを知らなかったんで、写真集を何冊か見てみたら、その中にすでに「D2」の資料にしていた
本があったんですよ(笑)。白の世界と波の本の2つ。それって僕が好きな写真で、その時までそれが稲越
さんの作品だってことに気づいていなかったんです。早速その日のうちに電話して会いに行って。
サターンとソフトを持参して、まずプレイして頂きました。次に会った時には「是非やりましょう」って言って
頂けたんです。稲越さんは撮り下ろして下さるとおっしゃったんですが、季節という時期的な問題もある
んで、膨大なストックから選ばせてもらいました。

 オートプレイモードは、サターン版ユーザーさんから頂いた要望の実現です。僕はそういったニーズが
あるとは思わなかったんですけど、ハガキを読んだら「なるほどなぁ」と思って。BGMにしたいとか、プレイ
した1回目でベストエンディングに行っちゃった人が「バッドエンディングを体験するためにわざわざ悪い
選択なんかしたくない」なんて意見もありまして(笑)。以前ラジオドラマとしてオンエアした時の反響が
大きかったのも1つの理由ですね。またサターン版の時に、インターネットの伝言板への書き込みや議論
が盛り上がったということもあって、DCには折角ネットワーク端子が付いているんだから対応させたいな、
と。クリアした人だけが行ける場所だから、ネタバレも気にしなくていいでしょう?

 ストーリーはサターン版と同じ。将来的にも変えるつもりはありません。音楽も全て同じです。変わると
すれば音質ですね。サターン版はトゥルーモーションを圧縮していたので、44.1キロ16ビットといえども
圧縮でちょっと落ちちゃうんですが、ADXなら元の音源と同じような音でいけるんじゃないかと思います。
でもテレビのスピーカーで聞くとあまり変わらないかもしれませんね。良いスピーカーで鳴らせば違うん
ですけど。でもやっぱりいいですよ、音が自然な感じ。音に関しては色々試してますが、マルチストリー
ミングは凄いです。だから僕は早く「リアルサウンド2」を作りたいんですけどね(笑)。いつ出せるのかは
わからないけど。まずは「D2」を終わらせなきゃいけないし。その頃お店にサターンの棚があるのかとか、
流通の問題もありますから。さすがにその時期には「何でDCで出さないんだ」っていう声のほうが大きく
なるかもしれないし。まぁ決定ではありませんが、いずれDCになるのではないでしょうか。技術のノウハウ
はもう掴んでます。1つ試してみたいことがあって、どこかがやらないうちに作りたいんですよ。今回の
「風のリグレット」でも、それを予感させることはちりばめてますし。ストーリーの流れはできているので、
「D2」が終わればいつでもOKという状態です。

 DC版風のリグレットは昨年の5月くらいからスタートして、移植も10月くらいには終わってました。
GD-ROMまわりやサウンドまわりを「D2」で作る必要があったのと、ADXの技術はいずれにせよ使うので
「リアルサウンド」を先に作ったというわけです。で、新要素を入れようということになって、昨年の10月から
今年の1月にかけてビジュアルモードを作りました。僕は今回は写真を選んだりとか、ぷるぷるの設定を
したりしてましたね。ポジの写真をスキャニングし、そのままデータ化して画面に表示しても綺麗には
見えないし、色落としをどうするかとか色々。逆に「D2」の方は少々の間、僕の手を離れている段階です。
リグレットのために「D2」の仕様書や収録も急いで終わらせたという事情もあって、だから「D2」の発売は
リグレットによって早まったと言えるかもしれません。D2と並行して開発したことは間違いなくプラスです。
ワープ内部 も「体験版があるから早く作らなきゃ」って雰囲気になりましたから。それがなければ、多分
まだスノーモービルは完成してませんね(笑)

 体験版のためだけに制作したのはスノーモービルくらいですから、ここ3週間くらいです。ですから
ポリゴンが少ないとかテクスチャをあんまり貼ってないとか、そのへんを言われると痛いんだけど、特設
コースなんでそこは勘弁してください。でもこのスノーモビルが楽しいんですよ。ドリフトもできるし、
どの角度にも対応して滑っていけるんですね。自信作です。アドベンチャーを体験したい人にはあまり
面白くないかもしれませんが他の部分の出来は良いので、やはり皆さんに手にとって欲しいです。

 「D2」はいいです、さすがに。時間をかけただけあります。手抜きなし。リアルタイムのキャラがあそこまで
動いて喋って笑ったり怒ったりしながら短いロードで戦闘に入る、とかね。「未来」を感じます、我ながら。
先のものを作っている気がします。とにかく体験版をプレイしてもらって、本編に期待して欲しいですね。

                                               (1999)