RAY STORM(PS)


タイトー中央研究所

・山下智久(企画、キャラクターデザイン)

・中村辰男(プログラム)



(要約)

<タイトルの由来>

 レイストーム は以前制作した「レイフォース」というゲームと同じシステムを使っているゲームなんですが、
ただ「2」を付けて レイフォース2というタイトルにするんじゃ面白味がないと思いまして。かといって、まったく
違うゲームではないので、同じ名前を臭わせたいと思いました。
 実は、他のゲームの企画で「レイストーム」というタイトルの付いたゲームがあってイメージ的にピッタリだった
ので、使わせてくれということで、名前をお借りしました。実際は他のゲームのタイトルだったんですよ。
そのゲームは企画書段階だったので、実際には動いていません。タイトルは自分が「いやあ、ストームしか
ないでしょう」って押したんです。何人かには反対されてましたけど(笑)


<PSへの移植>

 このゲームは今回初めて我が社で開発したFX基板で開発したのですが、それというのがプレイステーション
開発機器の互換にかなり近い物でして、短期間で移植できるということで当初から考えられていました。
その基板自体の特徴として移植がしやすいということで、「このゲームだから移植した」というわけではなく、
その基板だとプレイステーションに移植しやすいということです。サターンにも移植する予定があります。

 移植の苦労はものすごくありました。グラフィック面ではほとんどありませんでしたが、プログラムの方で凄く。
簡単に言ってしまえば容量が違うんです。プログラムの容量がアーケードの半分になってしまって、それを
ギュっと絞って収めるのにかなり苦労しました。4面はかなりギリギリでして、ゲームを始めても戦艦が1機も
出てこなくて、宇宙に自機だけが漂ってるって状態が1か月は続きましたね。グラフィックのデータの容量は
業務用と変わらないので、完全に同じ物といっても過言ではありません。ただ、一部処理スピードを落とさない
ためにわざと粗くしている部分があるのですが、それは誰が見てもわからないと思います。
 その他にもアーケードでは画像処理が速いので爆発や煙は半透明などの機能を使いまくってますが、
プレイステーション版では処理落ち防止のためにそれらの機能をかなり切っています。まあ、あとは期間的な
問題とかがありましたが(笑)。シューティングっていうのは命が短いんですよ、ですからできるだけ早く出したい
とは思ってました。期間的にもギュっとしていましたね。でも期間的に苦しかったのはアーケードのレイストーム
の後、スタッフが遊んでいたせいだという話もあります(笑)。ちょうど夏でしたし。


<PS版レイストーム>

 今までの当社のソフトは完全移植だけというか、プラスアルファの遊びがあまりありませんでした。
移植するにあたって完全移植というのは当然なんですよ。だからプラスアルファが欲しかったのと、
アーケード版の内容をこうしたい、こうしたら良くなるという点を新しく追加したエキストラモードに入れました。
敵の配置やボスキャラの攻撃や演出などを変えてまして、一層楽しめる物になったんじゃないかと思います。
「単なる完全移植じゃ済まさないぞ」っていう感じですね。アーケードで納得のいかなかった部分を納得の
いくようにしたものがプレイステーション版のエクストラモードなのです。簡単にいうと、アーケードは「難易度
上げすぎた」ってことですか(笑)。ってもう、笑いになるくらいなんですけど(笑)。ゲームをやって頂いている方
ならすぐわかると思うのですが、従来までの縦スクロールシューティングゲームとは違って斜めからの視点
ですよね。その時点で、かなりシューティングをプレイしている人でも難しいのに。その部分を考慮…して
いなかったわけじゃないのですが、開発者として足元が見えていなかったところがあって、難しくしすぎて
しまった部分が多くなってしまいました。まず、そういう部分を取り除くことから始めました。

 それに難しいというか、卑怯な攻撃をいくつかしてしまったので。これは、ちょっとやったら避けられないという
攻撃をカットして、あとは「こういう敵がいたら面白いな」と思ったところを増やしました。
 卑怯な攻撃というのは例えば、2面に弾を撃ちながら突進してくるザコがいるのですが、その弾が見えにくい
ということと、その誘導がやけにきつかったことです。その部分に関しましては、エクストラの方は2面では
弾は撃たない、誘導はゆるくするといった感じで調整してます。
 7面ボスでは同時に3種類の攻撃が重なるんです。普通かわせて2種類までなんですよね。
これは直さないとまずいだろうってことで、攻撃方法を大幅に変更しました。それ以外にも敵の色や、
見づらいといわれていた弾の色なども直しました。


<デザイン>

 キャラにしろ背景にしろ、アニメチックな物ではなく現実っぽいリアル調のゴツゴツしたメカ物にするというのが
コンセプトというか暗黙の了解として皆の中にありました。で、その中でデザイナーが突っ走りまくって、
それが形になったのが6面のボス。どうしても「変形ロボットを作るんだ!」といってZガンダムのプラモデル
買って来たりして、「ここがこうかー!」なんて言ったりしながらコンピュータに向かってました。あの時は
ほんとに時間がなかったのですが、その人の意地で形になりました。

 デザイナーがSF小説等が大好きな人で、世界観などを作るときは色んなところからもってきてました。
キャラクターデザインはアニメーションとか非常に参考にしましたね。ガンダム系 とかはどうしても入って
きますし。


<13機モード>

 バックストーリーを読んで頂けばわかるのですが、ストーリー内で用意されたパイロットが13人で、
用意された機体も13機ということで、ストーリーに完全に合わせた訳です。コンティニューがないのも
13機しかないからです。それに当然1機に1人パイロットが乗っているわけで、単純に1機やられると1人死ぬ
っていうわかりやすい設定になってます(笑)。あと設定では、2機種、オートとマニュアルの2タイプが3機ずつ、
計12機あります。で、後の1機はプロトタイプという開発の一番最初にあったもので、それは謎に包まれている
設定です。

 プロトタイプはスペシャルアタックとハイパーレーザーが使えない以外、R-GRAY1と全く同じです。
ただ点数だけはいきなり4倍から始まるようになっていて、最終的に512倍まで上がります。プロトタイプのみで
8面までクリアすれば3000-4000万ぐらいは取れるのではないかと思います。エクストラモードは普通に
プレイしてもそのくらい出るかもしれません。敵が多い上に点数の高いザコを配置してるので。


<エキストラモードエンディング>

 エクストラで本当に変えたかった部分って実はエンディングだったんですよ。アーケードだとただ普通に
脱出して地球に帰ってきますよね。エクストラでは、脱出のデモの後に英文が出ます。あれを訳して要約する
と「セシリアは完全崩壊していき、自機は脱出の際に炎に包まれた」ってことが書いてあるんですよ。
その後スタッフロールの後に最初に月が出てボロボロになった自機が出てきます。それでプレイヤーは
「ああ生きていたんだな」と思いますよね。そして目の前に阪石群が広がります。実はあれが地球なんですよ。
結局やりたかったことはどちらの星も壊したかったんです。自機は時間との戦いでセシリアに向かうのですが、
結局間に合わずに人類は指導力を持つ2つの惑星を失うわけです。戦争やっていいことなんかありません
からね。


<続編>

 まだわからないですね。ちょうど今、家庭用が終わったところで、これから色んな企画を立てていくわけです
が、現状では内容としては未定の状態です。ただ個人的な意見を言ってしまえば、レイフォースのやって
いなかった部分、新しくする部分を盛り込んだのがこの『レイストーム』ですから、ぜひ次は違うものでやりたい
なという気持ちはあります。

 今回この『レイストーム』で視点とかを含めて色々新しい試みができました。これによってCGのことなどを
含めてどんなことができるのか色々とわかりました。一応、1つの実験的な作品にはなったと思うんですよ。
こんな視点でもシューティングはできるんだとかね。昔『シルフィード』というゲームもありましたけど、
今回の物とは違いますよね。「こんな表現で、できるのかな?」と思って作ってみたらできちゃったんで、
「これはまた違う表現の仕方もあるな」と考えられるんです。今までどうしても表現しきれなかった部分というのが
ハードウェアの進化により表現できるようになりました。その表現により、今まで通りの作り方もできますし、
新しい表現を産み出すこともできます。昔じゃCGのボードなんて高くて使わせてもらえませんでしたからね。
その今までできなかった部分の表現を使ったゲームがこれからは出てくるんじゃないかな。

                                                     (1997)