不思議のダンジョン2 風来のシレン


・中村光一((株)チュンソフト代表取締役)



(要約)

 前作はほぼ満足しています。ただ不思議のダンジョン27階、もっと不思議で30階を我々としては一応
ゴール地点と設定して、それ以上はやりたい人のお遊びと考えていたんですが、その30階以降をプレー
される方が非常に多いのは想定してなかったですね。逆に言えば、そこに対する我々の仕掛けやフォロー
というのがあまりにも少なかったので、そういった意味で不満に思った方も多いかもしれません。そこでシレン
では、クリアしたあとの部分でも楽しめるようなものを、と考えています。例えばもっと仕掛けを考えるとか。

 今回「旅」をテーマとして取りあげ、そのテーマに合うキャラクターということで考えたら、和風に辿り着いた
という感じですね。主人公のシレンは一攫千金を狙って流れて来た風来坊という設定です。決してRPGに
ありがちな「みんなのために戦う正義のヒーロー」ではありません。場合によっては何か後ろめたいことを
しなければならないこともあるでしょう。そういう部分でもドラクエの世界と相反するものがあるので、今回は
オリジナルのキャラクターを登場させたというわけです。

 ジャングルの奥地にある「こばみ谷」がメインの舞台です。谷の中央には台地状のテーブルマウンテンが
あって、その前人未踏の頂上には何かがあるんです。また、一攫千金を夢見た様々な人々がそれを確か
めるために挑戦してきたんですが、頂上の謎を解き明かした者は誰もいない。谷間には渓谷の宿場という
街があって、ゴールドラッシュ時代の鉱山の街のように冒険者たちが集まってくる…その中の1人が主人公
のシレンなんです。はじめのうちはジャングルを徘徊するところがあったり、ときには橋を渡ったりと、前作
より地形的な広がりがありますね。

 トルネコの大冒険のゲームシステムは、それまでの家庭用ゲームに全く無いスタイルだったので、それを
いかにしてユーザーがスムーズに受け入れられるようにするかが課題でした。システムは新しいがRPGの
要素が非常に多い。そこでRPGの代名詞となっているドラクエの世界観やキャラクターを使ってイメージが
沸きやすいようにして、その問題を解消しようとしたんです。前作は80万本近くも売れて、しかもヘビー
ユーザーが多かったようですから、システムを十分理解して頂けたと考えています。

 前作はダンジョンに入る度に地形が変わって、その上シューティングゲームのような感覚がありましたよね。
あのスタイルを私たちは不思議のダンジョンと呼ぶことにしたんです。風来のシレンjもそれを踏襲しています
から、あのゲームシステムなんだということをわかりやすくするために、不思議のダンジョンというサブタイトル
を使うことにしました。

 今回の目的はテーブルマウンテンの頂上にある謎を解き明かすというのが1つ。また、それが宝なのか
それとも歓迎しないものなのかはゲームを始めた時点ではわからないので、それを確認することも目的の
1つでしょう。システムは前作の優れている部分を受け継ぎながら、大小色々な変更があります。敵の種類
などは勿論増えています。結構ゲテモノが多いというか。前作やドラクエにもなかった攻撃をしかけてくる
モンスターもいます。例えば軍隊アリというモンスターは列を作って攻撃してきます。なかなか手強いやつ
ですよ。仕掛けも色々と考えていますが、敵の方を向いて攻撃するという戦闘の基本的なシステムは
変わっていません。

 前作をやり込んで頂いた方も多いと思いますが、そういう方に満足して頂くためには、前作とちょっと変わ
っただけじゃ許されないような気がします。今後もじっくりと練っていって、ユーザーの皆さんのご期待を
裏切らないようなものに仕上げます。

                                                     (1994)