夜光虫

¥10800  1995.6.16  アテナ


(Ending/サリー)

末吉に命令し、タンクルーム内の
海水を全て抜き取らせたが、すで
に手遅れだった。
南条はすさまじい形相で溺死して
いた。
その南条の足を、今も密航者の残
された腕がしっかりとつかんでいた。

翌朝―
台風が通りすぎ、昨日までの暴風
雨がウソのように晴れ、青空が広
がっていた。

遺体の始末を終えて操舵室に行く
と、私は再びエンジンの回転数を
上げ、遅れた分を取り戻すように
三谷に指示した。
私は末吉とデッキに出た。

「 - 船長。
南条と密航者の死体は次の港で下
ろすそうでんな」
そう尋ねてきた末吉に私はうなず
いた。

「ああ、現地では事情を聞かれると
思うが、彼女の遺体はきちんと家
族に届けるつもりだ。もちろん、
持っていた宝石も一緒にな」
「しかし彼女も、その家宝の宝石
のせいで殺されてしまった訳でし
ょう?因果な事でんな」

「ああ、南条もあれさえ見なけれ
ば、あんな恐ろしい事を考えたり
はしなかったろう。魔がさしたん
だな。俺もあいつも…」

末吉は言いにくそうに私に聞いて
きた。
「やっぱり、密航者の遺族には本
当の事を言うんですか?」
「ああ、もちろんだ。それに、殺
したのは南条だが、私のした事も
大差はない。この航海が終わった
ら、遺族には出来る限りの事をす
るつもりだよ」

私は旧友、南条の顔を思い浮かべ
ていた。
一つ間違えれば、南条になってい
たらは私だった。
航海する時、船の針路を決めるよ
うに、私達はいつも幾つもの岐路
に立たされていて、どれかを選ば
なければいけない。

それによって、行き着く先は全く
違うものになっても、そこで何を
選ぶかは結局、自分次第なのだ。

末吉が暗い雰囲気を一掃するよう
に話題を変えた。
「しかし、そうなると友香さんへ
のお土産がなくなってしまいます
ね。どないします?」
私は笑みを洩らした。

「友香には小さくとも俺の愛が詰
まったルビーを買っていくさ。
でかいのはもうこりごりだ」
「ハハ、それがええわ」
私は大きく伸びをした。
汽笛の音が大きく響き、海上にこ
だました。


(Staff Roll)

原案・脚本

白石 マミ

システムエンジニア

田端 勤

プログラマー

大渕 武士

グラフィックデザイナー

大野 正樹
重村 太一

音楽

後藤 次利

アーティスト・マネジメント

長谷部 務
(株)プライベーター

サウンドプログラマー

禎 清宏
(有)ピュアサウンド

サウンドオペレーター

足立 美奈子
(有)ピュアサウンド

音楽&サウンドコーディネーター

皆川 賢輔
(G・T・Oフォーバレー)

音楽制作統括

平井 かよ子
(株)パセリプロモーション

スペシャルサンクス

(株)ジャグラー
日本脚本家連盟
新党ぬけがけ
高崎 敬之
佐々木 彰太郎
片野 研一
小山 正広
野崎 竜也
多胡 智弥
今 智弘
鈴木 諭
平識 佳秋
槫林 義貴

制作総指揮

中村 栄

製作・著作

(株)アテナ 一九九五